TOP>消化器>腸結核
腸結核(Intestinal tuberculosis)
▼腸結核の概念
結核菌は、空気感染(空気感染といえば、麻疹、水痘、結核)し肺に病巣を作ります。
腸結核は、血行性に散布された結核菌が結核菌が腸管に侵入し肉芽腫を作り潰瘍となった疾患です。
ちなみに結核は、肺以外には、腎、腸、骨などに病変を作りやすいです。
腸結核は、回盲部(回腸と盲腸の境界付近)に好発しますが、それはリンパ組織が豊富なためと
考えられています(回盲部に好発するのは、腸結核、クローン病、ベーチェット病など)。
小腸のリンパは腸管の円周方向に走っているので、
腸結核では、潰瘍が腸管を取り囲んだり(輪状潰瘍)、帯状になります(輪状潰瘍)。
▼腸結核の症状
潰瘍をつくるために、腹痛、下痢、下血などの消化器症状が見られますが、腸結核に特徴的な症状は ありません。
▼腸結核の診断
本症は、回盲部に好発するために、クローン病との鑑別が問題になります。
<血液検査>
炎症反応によりCRPが上昇します。ツベルクリン反応は陽性になります。
<注腸造影検査>
輪状潰瘍、輪状潰瘍などの潰瘍病変とそれらによる狭窄像が見られます。
一方、クローン病では縦走潰瘍となり、敷石像も見られます。
<下部内視鏡検査>
潰瘍病変や萎縮瘢痕帯を直接見ることができます。生検で乾酪壊死が見られれば
診断は確定しますが、実際には、見つからないこともあります。
糞便採取や生検組織からの結核菌培養も試みられますが、陰性となることも多いです。
▼腸結核の治療
本症と診断された場合、抗結核薬が投与されます。
3〜4種類の多剤併用療法が行われます
(イソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、ストレプトマイシンなど)。
予後は比較的良好です。