胃食道逆流症(GERD)とBarrett食道
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胃食道逆流症(GERD:gastroesophageal reflux disease)

▼GERDの概念

胃内の酸性内容物が食道に逆流することで、食道粘膜にびらんや潰瘍を呈する場合を、 逆流性食道炎と呼んでいました。

しかし、胸やけなどの症状はあるものの内視鏡的には炎症所見に乏しい場合もあることがわかってきました。
そこで、食道炎の有無に関わらず胃内の酸性内容物が食道に逆流することを 胃食道逆流症(GERD:gastroesophageal reflux disease)と 呼ぶようになりました。
炎症がなくても症状を呈するのは粘膜が酸に対して敏感なためと考えられています(知覚過敏説)。

欧米に多く日本では比較的少ないと考えられていましたが、日本でも近年増えてきています。

食道と胃の境界部に下部食道括約筋(LES)があります。
食物を飲み込むときにLESは弛緩し食道から胃に食物が流れ込みます。
食後は通常、このLESは閉鎖し逆流を防止しています。GERDでは 食後にもこのLESが一過性に弛緩して逆流を生じると考えられています。
また、肥満ではL腹圧が上昇しLES圧よりも高くなると逆流します。
したがって、肥満は危険因子となります。
また、喫煙もリスク因子となることから生活習慣が本症の発生に重要との認識がなされているようです。

GERDは、ヘリコバクター・ピロリ除菌後に悪化あるいは顕在化することが知られています。
ピロリ菌除去後に胃酸分泌が増えるために逆流による症状が悪化すると考えられています。

本症は続発性に生じることがあり 食道裂孔ヘルニアや強皮症などの基礎疾患が原因で逆流を生じることがあります。
食道裂孔ヘルニアではヘルニアの影響でLESの締め付け圧が下がり、また強皮症では食道平滑筋の硬化が 生じるためにLES圧が下がり逆流を来たします。

GERD研究会

▼GERDの症状

典型的には、胸やけや呑酸です。
しかし、それ以外にも狭心症様の胸痛、喘息様症状、咽頭痛、嗄声、耳痛などを呈することもあり、 不定愁訴として扱われることもあります。
これらの症状がある場合に胃食道逆流症(GERD)を疑うことは非常に重要と思われます (内視鏡的に異常がなくても本症は否定できない)。

横になったときに逆流しやすくなるので症状が悪化し睡眠障害となることもあります。

▼GERDの検査

内視鏡検査で、食道に炎症(発赤、びらん、潰瘍など)があればGERDの1つである逆流性食道炎と診断できます。
逆流性食道炎の内視鏡所見にはLosAngeles分類があります。
胃食道逆流症(内視鏡)
(97回医師国家試験D22)

食道造影検査でもニッシェや狭窄像も見られることがあります。
食道裂孔ヘルニアの検査にもなります。

内視鏡等で異常がない場合や胃内容物の逆流を証明する方法として、 食道内pHモニタリング下部食道括約筋(LES)圧の測定が有用です。

▼GERDの治療

<生活習慣>
食後1〜2時間に逆流は生じやすいのでその時間は横臥位にならないようにします。
喫煙、アルコールはLES圧を低下させると考えられているため控えます。

<薬物療法>
薬物療法としては、逆流してくる胃酸の量を減らす目的で、 プロトンポンプ阻害剤(PPI)やH2受容体拮抗剤が使われます。特に PPIが有効です。
他に、消化管運動改善剤(シサプリドなど)を補助的に用いることもあります。

Barrett食道

食道粘膜は通常、扁平上皮です。しかし、胃酸逆流によって刺激され続けると腺(円柱)上皮へと 変わってしまうようです(腸上皮化生)。これをBarrett食道といいます。

Barrett食道は、腺癌に移行するので注意が必要です(年間0.5%)。
なお、日本では食道癌は扁平上皮癌ですが、欧米では食道癌は腺癌が多くBarrett食道の患者が多いようです。