吸収不良症候群
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吸収不良症候群

▼吸収不良症候群の概念

消化管の役割は、経口摂取した栄養素を吸収することにありますが、 何らかの理由で吸収が阻害された病態を吸収不良症候群といいます。

病態としては、消化ができないために吸収できない場合消化はできているが吸収できない場合の 大きく2通りが考えられます。

消化ができない原因として、消化液の分泌不全が考えられます。
消化液は大きく、胃液、膵液、胆汁、腸液などがあり、それぞれ胃、膵臓、肝臓や胆嚢、小腸の 障害で分泌不全を来たします。

消化できているが吸収できない場合としては、消化を主に担っている小腸の障害が原因となる場合が 多いです。

▼吸収不良症候群の症状

吸収できない栄養素の種類によって様々です。

三大栄養素で考えると、脂肪の吸収障害では、脂肪が吸収できないために脂肪便となります。
また、脂溶性ビタミン(A,D,E,K)が低下するために、 夜盲症(ビタミンAの障害),骨軟化症(ビタミンDの障害),出血傾向(ビタミンKの障害)などが見られます。

蛋白質の吸収障害では、低蛋白血症を来たし、アルブミンも低下するために血漿浸透圧が低下し浮腫を来たします。
当然、体重減少や筋力低下も生じます。

糖が低下すれば体重減少を来たします。他の栄養素を糖に変換することができるため低血糖には なりにくいです。
吸収障害で消化管内の糖が増えるので、腸管内の細菌は異常増殖しガス産生が増え腹痛や腹部膨満感 を生じることがあります。

微量栄養素の障害としては、ビタミンB12や葉酸、鉄の不足では貧血となります。
ビタミンB1,2,12の低下では主に神経障害を呈します。

▼吸収不良症候群の治療

原因疾患の治療と平行して足りない栄養素の補充を行います。

セリアック・スプルー

グルテンが関与した粘膜障害により小腸粘膜の絨毛形態が失われ吸収障害を呈する疾患です。
わが国ではほとんどみられません。

乳糖不耐症

乳糖が分解されず腸管内に残存し、下痢と糖質吸収不良をきたす疾患で、主に問題となるのは ラクターゼの先天性欠損症です。乳児から発症することもありますが、加齢に伴い 消化酵素活性が低下するケースも見られます。
乳糖(牛乳など)の摂取により腹痛、下痢を来たすため、乳糖除去食やラクターゼ薬の投与を行います。