難治性うつ病
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難治性うつ病

▼難治性うつ病の定義

うつ病は一般的には抗うつ薬が有効で予後のよい疾患ですが、難治な患者も存在します。
難治性とは,薬物治療抵抗性と考えることが一般的で、 定義としては,少なくとも2種類の抗うつ薬を十分量(イミプラミン相当で150mg/日), 十分な期間(4〜6週間)用いても反応が認められないこと、とされることが多いです。
しかし,三環系抗うつ薬の場合,300mg/日まで増量し,8週間用いる必要があるとの意見もあります。

また,抗うつ薬は副作用のために十分な量を用いることができない場合があり、難治性の定義は簡単ではありません。

▼難治性うつ病に関する研究

治療抵抗性うつ病について,脳の形態や機能に関する画像研究が多く行われています。

脳の形態的変化に関して,治療抵抗性患者では,海馬を含む左の側頭葉皮質灰白質の体積が減少し, 右の海馬も減少傾向にあるとの報告があります。
また,深部白質の病巣が高齢うつ病患者の予後を悪くするとの報告もあります。

脳の機能的変化に関して,治療抵抗性では,前頭葉下部や帯状回を中心とする前脳部の広汎な血流低下などが 報告されています。
高齢者における難治例では,帯状回前部,前頭前野,側頭葉、頭頂葉,海馬および尾状核の血流低下が示されています。

▼難治性うつ病の治療

薬物療法としては、抗うつ薬を変更する切替法、複数の抗うつ薬を併用する方法、使用中の抗うつ薬の治療を 増強させる薬剤を併用する増強法があります。

抗うつ薬には、SSRI、SNRI、三環系、四環系、トラゾトン、スルピリドがあり、 抗うつ薬の変更には、同一作用機序の抗うつ薬に変更する場合と、作用機序の異なる抗うつ薬に変更する場合が あります。
抗うつ薬の併用に関しては、三環系とSSRIを併用した場合に効果が増強するとする報告もありますが、 否定的な報告もあり評価が定まっていません。

増強法では、抗うつ薬に、リチウム、甲状腺ホルモン、メチルフェニデート、ドーパミンアゴニスト、 非定型抗精神病薬を追加します。
わが国で保険適応となっているのはリチウムとメチルフェニデートです。
リチウムはメタ解析で有効性が確認されており、単極性の難治性うつ病にも使われます。
メチルフェニデートは老年難治性うつ病での効果が報告されているが、 依存形成などの問題点もあり厳密に適応を選ぶ必要があります。

治療抵抗性うつ病に対する非定型抗精神病薬の効果に関する報告はオランザピンが最も多いです。

抗精神病薬が効果を示すうつ病も存在することから、統合失調症とうつ病との間に、 何からの関連性も疑われています。
どちらも内因性の疾患であり、また、統合失調症の陰性症状に抗うつ薬が有効な例も存在します。

ドーパミンアゴニストが治療抵抗性うつ病の一部で効果が認められることもあり、 治療抵抗性うつ病ではドーパミン系の低下が関与している可能性も示唆されています。

薬物療法以外には,電気けいれん療法(ECT),認知行動療法があります。
前者は,現在では,静脈麻酔薬と筋弛緩薬を用いて安全に行う修正型ECT(mECT)が行われています。
ECTは優れた効果があるが,効果が持続せず再発することが多いです.
再発予防としての薬物療法や,持続的なECTも試みられています。

・本橋伸高:難治性うつ病.最新精神医4 p49 1999
・岡本長久:難治性うつ病への対応.医学のあゆみ 219(13) 955 2006