乳頭部癌
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乳頭部癌

▼乳頭部癌の概念

乳頭部は乳頭部の総胆管と膵管から発生した癌で、 好発部位は共通管(総胆管と膵管が合流した部分)と考えられています。
組織学的には多くは腺癌です。

発生母地に関しては、胆膵管系の乳頭状の癌と、胃腸管の腺管腺腫に類似した腸管型とに分けると、 前者が予後不良と考えられています。
MUC1とMUC2のムチン発現により分類すると、A群(膵型)、B群(腸型)、C群の 3つに分けられますが、A群はリンパ節転移、肝転移が多くみられ、悪性度が高いと考えられています。

乳頭部癌は胆道系、膵臓系の癌の中では、比較的、予後が良好です。それは早期に閉塞性黄疸を呈することより、 早期発見が可能であることが一因と考えられています。

▼乳頭部癌の症状

初期から胆汁うっ滞を来たし、黄疸を呈します。
この黄疸は軽快と増悪を繰り返します。軽快するのは、腫瘍が壊死し脱落したときに、胆汁が腸管内へと流出するためと 考えられています。
他覚的には、胆管癌と同様に、Courvoisier徴候を来たします。

▼乳頭部癌の検査

血液検査ではビリルビンの上昇、胆道系酵素の上昇が見られます。
画像検査では、腹部超音波、EUS(内視鏡的超音波断層法)、造影検査、腹部CT、MRIなどが有用です。
可能であれば、確定診断はERCP下生検やPTCS下生検による組織診によります。

▼乳頭部癌の予後

リンパ節転移を伴わないstageT症例は予後良好ですが、リンパ節転移を伴うもの、 膵浸潤があるものは予後不良です。

▼乳頭部癌の治療

治療の第一選択は手術です。PD(膵頭十二指腸切除術)や、最近では 幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(PPPD)が広く行われています。

進行癌症例では大動脈周囲リンパ節郭清を加えたD3郭清も行われます。
肝転移に対しても切除可能であれば、手術することもあります。

縮小手術には乳頭全切除術がありますが、根治性が疑問視されています。ただ、早期乳頭部癌では 適応となる症例もあると考えられています。