原発性硬化性胆管炎(PSC)
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原発性硬化性胆管炎(PSC:primary sclerosing cholangitis)

▼原発性硬化性胆管炎の概念

原発性硬化性胆管炎(PSC)は、原因不明の慢性胆汁うっ滞を来たす疾患です。
胆管壁に輪状に線維性肥厚が生じ、胆管が潰されます。
原発性胆汁性肝硬変(PBC)と似た病態になりますが、PBCでは、 肝臓内の胆管に病変が生じるのに対し、本症では、肝内肝外問わず、すべての胆管が侵されます。

本症はまれな疾患で原因は不明ですが、自己免疫の疑いが強く、潰瘍性大腸炎を主体としたIBD(炎症性腸疾患)の 合併が見られます。

▼原発性硬化性胆管炎の症状

胆汁うっ滞から閉塞性黄疸を来たします。その後、進行すれば、肝硬変となり、その症状を呈します。

▼原発性硬化性胆管炎の検査

<血液検査>
胆道系酵素(ALP、LAP、γ-GTP)やビリルビンが上昇し、消長を繰り返します。
抗核抗体などが陽性となる場合もあります(10%程度)。
IBD患者で、胆道系酵素の上昇があれば、本症の合併を疑う必要があります

<画像検査>
ERCPが特に有用で、胆管は数珠様所見(beaded appearance)を呈します。

▼原発性硬化性胆管炎の合併症

潰瘍性大腸炎を主体としたIBD(炎症性腸疾患)を合併しますが、他に慢性膵炎の合併が比較的多いとされています。
また、PSCの10〜15%に胆管癌を合併します。胆嚢癌の合併も報告されており、注意が必要です。

▼原発性硬化性胆管炎の治療

特異的な治療はありませんが、狭窄した胆管を拡張するために、内視鏡的にバルーンカテーテルを用いた 治療やステント留置などが試みられています。

進行したPSCに関しては肝移植が有効です。

薬物療法としては、ウルソ、メトトレキセートなどが使われています。