肝膿瘍
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肝膿瘍(liver abscess)

▼肝膿瘍の概念

肝膿瘍は、肝内に膿瘍(膿(うみ))を形成した疾患で、原因の病原体としては、細菌とアメーバ(原虫) に分けられます。

細菌による場合、多いのは大腸菌で、胆道を逆行性に進んできたと考えられます。 したがって、胆道系感染症(胆管炎、急性胆嚢炎など)も併発している場合が 多くみられます。

一方、赤痢アメーバは輸入感染症が主ですが、経口摂取後、消化管粘膜より体内に侵入し、門脈経由で 肝臓へと達すると考えられます。

▼肝膿瘍の症状

発熱、全身倦怠感、腹痛、黄疸などを呈します。
アメーバ性肝膿瘍では、前述の症状に加え、血性下痢がみられますが、症状としては細菌性よりも 軽症です。

▼肝膿瘍の検査

<血液検査>
炎症を反映してCRP、白血球が上昇します。
細菌性の場合、胆道系感染もあることが多く、胆道系酵素も上昇します。
AST、ALTはさほどは上昇しません。
アメーバ性であれば、抗アメーバ抗体が陽性になり、診断に有効です。

画像検査では、エコーで低エコー域と後方エコーの増強などが、 細菌性では多発してみられることが 多いです。

<CT>
膿瘍部分は低濃度に写ります。膿瘍には血行がないので造影効果がないことが特徴です。

<穿刺>
アメーバ性ではチョコレート様、アンチョビペースト様の液体を吸引 できます。

▼肝膿瘍の治療

穿刺吸引ドレナージに抗生剤を投与します。アメーバ性に対しては、メトロニダゾールを使います。