妊娠悪阻とWernicke脳症
▼つわり(妊娠嘔吐)と妊娠悪阻
つわりは、妊娠5週頃から始まる悪心、嘔吐、食欲不振、嗜好の変化です。
ピークが8~10週で12~16週頃に通常は終わります。
医者の格言に「女性を見たら妊娠を疑え」というのがありますが、これらの症状から妊娠を考えることは
非常に重要です。妊娠を否定せずに器質的な疾患を疑ってX線写真等の検査をすることは禁忌になります。
つわりの原因のひとつにはhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)があります。
絨毛から分泌されるホルモンで妊娠反応に使われるホルモンですが、
正常妊娠よりもhCGが高値となる胞状奇胎でつわりがひどいことからも裏付けられます。
妊娠悪阻はつわりの症状がひどく脱水等のために治療が必要となった状態です。
頻度としては妊婦の1%程度とされます。
悪心、嘔吐がひどいと栄養状態が悪化するために嫌気代謝が進み(ケトーシス)
代謝性アシドーシスとなることがあります。
水も飲めなくなるために脱水状態となり、循環状態も悪化し、
場合によっては、母児ともに危険な状態となります。
<治療>
・入院
日常生活から距離を置きます。妊娠悪阻はストレスの影響があるためにこれだけで
改善することもあります。
・輸液
脱水に対して輸液を行います。ケトーシスの改善にはブドウ糖が必要なのでブドウ糖液をベースとして
用います。
また、このときにビタミンB1を補充しないとWerniche脳症(眼球運動障害、運動失調、意識障害(せん妄))を
となるので、他の水溶性ビタミンも含む複合ビタミン剤の投与も行います。
・制吐剤
嘔吐がひどい場合にはメトクロプラミド(商品名はプリンペラン)を投与します。
ドンペリドンは催奇形性があるので禁忌です。
小半夏加茯苓湯や半夏厚朴湯などの漢方薬を用いることもあるようです。