自己免疫性溶血性貧血
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自己免疫性溶血性貧血(AIHA)

▼AIHAの概念

赤血球に対する抗体が産生されるために、 赤血球に抗体が付着し、マクロファージなどに貪食されやすくなり、血管外溶血を生じる疾患です。

自己抗体が赤血球膜と結合するときの最適温度の違いにより温式(37℃前後)と冷式(4℃前後)に分かれます。
温式抗体が産生される場合を狭義の自己免疫性溶血性貧血(AIHA)といいます。

赤血球に対する自己抗体が産生される理由は不明です。
AIHAは、膠原病や白血病などの基礎疾患に合併して生じることもあります。
自己免疫性溶血性貧血(AIHA)と特発性血小板減少性紫斑病(ITP)が合併した場合をEvans症候群といいます。

▼AIHAの診断

正球性正色素性貧血で網赤血球の増加がある場合、本症の可能性を疑います。

本症の診断で重要なのがCoombs試験です。
Coombs試験は赤血球に対する自己抗体の有無を調べるテストで、直接と間接の2つがあります。
患者の赤血球を使うのが直接Coombs試験で、 患者の血清を使うのが間接Coombs試験です。

直接Coombs試験では、患者の赤血球には自己抗体が付着しているので、抗ヒト免疫グロブリンを追加したときに 凝集が起こります。

間接Coombs試験では、患者の血清中に自己抗体が含まれるので、正常人のO型赤血球を加えたときに 自己抗体と赤血球が結合し、その後、抗ヒト免疫グロブリンを追加したときに凝集が起こります。

▼AIHAの治療

第一選択はステロイドです。
ステロイドでコントロールできない場合や副作用が問題となった場合には 免疫抑制剤を使うこともあります。