サラセミア、無トランスフェリン血症
▼サラセミアの概念
ヘモグロビンはヘムとグロビンという蛋白から成ります。
グロビンはさらに4つのペプチドから構成されます。
成人では、この4つのペプチドは、α鎖が2本、β鎖が2本です(これをHbAという。Aは成人adult)。
なお、胎児では、α鎖が2本、γ鎖が2本です(HbFという。Fは胎児fetal)。
サラセミアでは、α鎖やβ鎖ができない疾患です(αが出来ないとαサラセミア、βができないとβサラセミア)。
本症は、常染色体によって遺伝します。
この赤血球は、容易に脾臓で処理されるため溶血性貧血となります。
▼サラセミアの症状
典型例では、貧血、黄疸、脾腫といった溶血性貧血の特徴を呈します。
▼サラセミアの診断
溶血性貧血としては例外的に、小球性低色素性貧血となります。
したがって、溶血の所見があって、小球性低色素性なら、本症を疑います。
血清鉄やフェリチンは、有効利用されないために増加します。
末梢血標本では、赤血球は奇形が目立ち、ダーツなどの的のように見える
標的赤血球(Target cell)が特徴的です。
▼サラセミアの治療
重症の場合は骨髄移植が行われます。
無トランスフェリン血症
その名のとおり、トランスフェリン(Tf)ができなくなった状態です。
血清鉄は必ずTfとくっついて存在しているので、Tfが低下すると、血清鉄が
低下し、その結果、鉄が利用できなくなるために、貧血を来たします。
Tfは、肝臓で合成されるので、肝硬変などの肝障害で見られることが
あります。
また、先天的にTfが合成できない場合も報告されています。
Tfが低下するため、TIBC(総鉄結合能)も低下し、血清鉄も低下します。
行き場を失った
鉄は貯蔵鉄にならざるをえないので、フェリチンは増加します。