血液の形成(造血)
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血液の形成(造血)と成分

▼血液の成分

血液は、大きく、有形成分と液体成分に分かれます。

有形成分は血球と呼ばれ、赤血球、白血球、血小板に大別できます。

液体成分は、血漿とよばれ、水分の他に塩類(電解質)や、 凝固(血液が固まること)に重要なフィブリンなどの様々なタンパク質を含みます。 特にフィブリンを除いた液体成分を血清と呼びます。

血液の成分

▼血球の造血

血液の血球は、成人では、骨髄で作られます。
骨髄は比較的大きな骨の中心にあります。人間の骨髄はあまり見る機会がないですが、 ケンタッキーフライドチキンなどで鳥の骨髄は見たことがあると思います。 骨を割って中にある赤いものが骨髄です。

骨髄中で、血球成分は成熟し、末梢血中へと放出されます。

赤血球や白血球の大元が、全能性幹細胞で、これが、骨髄系幹細胞とリンパ系幹細胞に分化します。
骨髄系幹細胞からは、その後、赤血球、血小板、顆粒球、好中球へと分化します。
リンパ系幹細胞は、その後、T細胞やB細胞へと分化をします。

血球の分化

なお、胎生期で、骨髄が発達していないときには、肝臓や脾臓で造血が行われます。

また、骨髄線維症などで、骨髄で造血ができなくなった場合にも、肝臓や脾臓で造血が行われます (髄外造血)。

▼赤血球

骨髄系幹細胞から、分化が進むとやがて赤芽球となります。
赤芽球の段階までは、細胞内に核があります。その後、脱核し網赤血球となり、骨髄から末梢血へと放出されます。 その後、末梢血中で成熟赤血球となります。

赤血球への分化で重要なのが、エリスロポエチン(EPO)です。 EPOは腎臓で合成分泌され,血流中を循環し,造血組織である骨髄に到達して赤血球の増殖を促します。
腎臓が悪くなると貧血になるのは、このEPOの産生が低下するために、赤血球が作られなくなるためです。

赤血球は、酸素の運搬を行います。
血液が赤いのは、赤血球中にヘモグロビン(血色素)を含んでいるためです。
ヘモグロビンが酸素と結びつきます。ヘモグロビンはその名のとおり、 ヘム(鉄+ポルフィリン)とグロビン(蛋白質)でできていてます。

末梢血中の赤血球は、出来て間もない網状赤血球(1〜2日で成熟赤血球となる)と 成熟赤血球の2種類が あります。それ以外の赤血球系の細胞が見られた場合は異常です。

赤血球の寿命が120日くらいなので、網状赤血球の割合は、約1%です。
この割合が下がっていれば赤血球が作られていないことを示し、増加すれば 赤血球の寿命が低下していることを示唆するため、検査値上、網状赤血球の占める割合は非常に有用です。

赤血球は他の血球と同じく骨髄で産生されます。そして、古くなった赤血球は形状や弾性に変化が生じ、 脾臓や肝臓でトラップされ、分解されます。

▼白血球

白血球の分化は白血病を理解する際に重要です。白血病の項で詳しく述べます。

白血球は免疫上重要な役割を果たし、たくさんの種類があります。

これを形態上3つに分類すると、顆粒球、単球、リンパ球になります。

顆粒球は、さらに染色性の違いから、好中球、好酸球、好塩基球にわかれます。

好中球は、炎症の際、中心的な役割を果たす細胞で、白血球全体の50〜60%を占めます。
好中球は、桿状核好中球と分葉核好中球がありますが、 桿状核好中球から分葉核好中球に分化すると考えられています。
それで、急性感染症では、 好中球が増産されるため、桿状核好中球と分葉核好中球の数は、桿状核好中球が多くなります。これを 核の左方移動といいます。

好酸球は、アレルギーや寄生虫感染で増加します。白血球全体の数%を占めます。
好塩基球は、アレルギーに関与していますが、白血球全体の0〜1%と少なく、あまり増減しません。

単球は、血管の外にいるときには、マクロファージ と呼ばれ、病原が進入してきた際には、それらを貪食し、 抗原提示という重要な役割を果たす細胞です。

リンパ球は、T細胞、B細胞、NK細胞に分かれます。

T細胞はヘルパーT細胞、キラーT細胞があります。
B細胞は、形質細胞に分化し、抗体を産生します。
NK細胞は、癌細胞を攻撃することで有名です。

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▼血小板

血小板は巨核球が千切れて出来たものですが、巨核球への分化の際、重要なのがトロンボポエチン(TPO)です。
TPOは肝臓で作られるため、肝臓の機能が低下した場合(たとえば肝硬変など)、TPOの産生が低下するため、 血小板が減少します。

血小板は、巨核球という細胞がちぎれてできたもので、血液凝固で重要です。

血小板の寿命は7〜10日とされます。