収縮性心膜炎(constrictive pericarditis)
▼収縮性心膜炎の概念
急性心膜炎の回復過程で、心膜全体に瘢痕化(線維性)組織が形成された結果、心膜が硬くなり、
心臓の拡張が傷害される疾患です。
原因としては、結核が多いですが、不明なものも半数占めます。
▼収縮性心膜炎の症状と聴診所見
心臓の拡張障害なので病態は心タンポナーデと似ています。
Kussmaul徴候、肝頸静脈逆流現象、奇脈も見られます。
また、心臓の拡張障害のため心臓内の血液量が減るので、1回拍出量が低下して血圧も下がります。
聴診では、拡張早期に心膜叩打音が聴取できます。
右室圧曲線でのdip直後に一致すると思われます。
▼収縮性心膜炎の検査
<胸部X線写真>
心膜石灰化の所見がみられます。また、心タンポナーデ同様、肺血流も低下するために肺野は明るく見えます。
(97回医師国家試験A21)
<心電図(ECG)>
心タンポナーデ同様に低電位となります。
<心エコー>
心膜が石灰化しているために心膜の輝度が増強しています。また、心タンポナーデ同様に拡張障害もみられます。
<心カテーテル>
右室圧曲線で、dip and plateau(ディップ(凹み)&プラトー(平坦部))が見られます。
(97回医師国家試験A21)
▼収縮性心膜炎の治療
機械的障害のため内科的な治療は有効ではなく、外科的に心膜切除術が行われます。