好酸球性肺炎
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好酸球性肺炎

▼好酸球性肺炎の概念

広義には、肺に好酸球の浸潤を認める疾患群の総称です。
好酸球が増加する原因としては、寄生虫、真菌、薬剤などがありますが、不明なものも 多いです。
分類としては、Citroの分類、Fraserの分類が使われるようです。

Citroの分類 症状 原因 治療
単純性肺好酸球増加症 軽度 不明 対症療法
遷延性肺好酸球増加症 軽〜中等度 不明 ステロイド
喘息性肺好酸球増加症 軽〜中等度 アスペルギルスなど ステロイド
熱帯性肺好酸球増加症 中等度〜重症 ミクロフィラリア ジエチルカルバマジン
アレルギー性血管炎
(結節性動脈炎,Wegener肉芽腫)
重症 不明 ステロイド,免疫抑制剤

Fraserの分類 疾患名
原因不明の好酸球性肺疾患 単純性肺好酸球増加症
急性好酸球性肺炎(AEP)
慢性好酸球性肺炎(CEP)
原因の明らかな好酸球性肺疾患 薬剤性好酸球性肺炎
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)など
血管炎、肉芽腫と関連した好酸球性肺疾患 アレルギー性肉芽腫性血管炎
結節性動脈炎
Wegener肉芽腫

▼急性好酸球性肺炎(AEP)

急性好酸球性肺炎(AEP)は、若い人(特に女性)に急激に呼吸困難が現れる疾患です。
原因不明と分類されていますが、日本人では、喫煙が原因であることが多く、 喫煙を開始(再開)した数日から数週間で発症します。
BALFでは、好酸球が増加しますが、血液検査上では好酸球の増加は見られません。
治療はステロイドの全身投与です。

▼アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)は、 気管支喘息の症状に加えて(T型アレルギー)、アスペルギルスに対する アレルギー反応(V型アレルギー)によって 起こる肺炎です。

アスペルギルスは、免疫不全患者などでは、肺アスペルギルス症という疾患も引き起こすので、 それとは区別して考える必要があります。 アレルギー性気管支肺アスペルギルス症は、あくまでアレルギー性疾患です。

症状では、喘息の症状が先に起こり、その後、発熱、咳、呼吸困難などがみられます。 胸部X線写真で肺炎のような影がみられ、移動したり、反復したりします。

治療は、免疫反応を抑えるために、ステロイドの全身投与が行われます。また、補助薬として、 アスペルギルスに対する抗菌薬の投与(アムホテリシン)も行われることがあります。