境界性人格障害
▼境界性人格障害の概念
境界性人格障害は、最近増えているとされる人格障害で、ボーダーラインともいわれます。
境界は、神経症と精神病との境界という
意味で、精神病というには症状が足りず、神経症でもない状態です。
感情の起伏が激しく衝動的で、対人関係が不安定になりやすい一方で、
適応はよいという特徴的な人格を呈します。
若い女性に多く、見た目はオシャレで周囲の視線を浴びることを
好むような傾向があったりしますが、適応もよく、一見、特に問題となるようなことはなさそうにみえます。
しかし、感情をコントロールすることができず、ときに暴力的になり、自殺を図ったりします。
たとえば、恋人がいるときには、その恋人を振り回すことで何らかの安心感を
得ているように見えたり、ときに過度の甘えなど依存的な傾向を示します。
しかし、失恋したときには、相手を激しくなじり、正常とは思えないような暴力的を行うこともあります。
その際には、自殺をほのめかしたり、実際に行為に及ぶこともあります。
また、援助交際を行ったりと非社会的な行動を取ることもあります。
他の精神疾患との関連ですが、うつ病や摂食障害を合併する境界性人格障害の患者がみられます。
▼境界性人格障害の診断
DSM-IVの診断基準には以下のようなものがあり、5つ以上があてはまると境界性人格障害が疑われます。
1.現実に、または想像の中で見捨てられることを避けようとする気違いじみた努力。
2.他人への評価が理想化したり、こき下ろしたりと両極端で不安定なものである。
3.同一性障害:著名で持続的な不安定な自己像や自己観
4.自己を傷つける可能性のある衝動性で、少なくとも2つの領域にわたるもの(ケンカ、過食、リストカット、薬物、衝動的な性行為など)。
5.自殺の行為、そぶり、脅し、または自傷行為のくり返し。
6.感情不安定性
7.慢性的な空虚感
8.不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難。
9.ストレスがあると妄想的な考えや解離症状。
▼境界性人格障害の治療
境界性人格障害の原因は、家庭環境、幼児期の心的外傷等がいわれていますが、
はっきりとしたことはわかっていません。
ただ、社会生活の中で、ある程度同一性や自己像が確立され、感情は安定化していくものと考えられます。
したがって、重要なのは、自殺や衝動的な性行為による妊娠、性感染といった問題行為を起こさせないことで、
治療としては、カウンセリングが中心となり、抑うつ症状や睡眠障害などに対しては薬物療法を
行います。