脂肪肝、NASH
▼脂肪肝
肝臓には、3%程度の脂質(中性脂肪・コレステロール・リン脂質など)が含まれていますが、
特に中性脂肪(主にTG)が過剰に蓄積すると脂肪肝と呼ばれます。
脂肪肝の原因として多いのが、肥満やアルコール摂取による脂肪肝です。
なお、栄養が欠乏しても脂肪肝になります。
その他の原因としては、薬物(ステロイドなど)や中毒(四塩化炭素中毒)、Reye(ライ)症候群、
急性妊娠脂肪肝などがあります。
<症状>
基本的に脂肪肝のみでは症状はありません。
それが患者の治療への動機付けを難しくする要因でもあります。
<血液検査>
トランスアミナーゼ(AST、ALT)の軽度上昇、アルコールが原因であればγ-GTPの上昇がみられます。
また、脂肪肝ではアルブミンやChEは増加します。アルブミンは運搬蛋白としての
機能を持ちますが、多くの脂肪を運ぶ必要があるために肝臓での合成が亢進して上昇します。
<腹部エコー>
有名な所見が、肝腎コントラストです。
正常であれば、肝臓と腎臓は似たような輝度になりますが、脂肪肝ではエコー輝度が上昇し、腎臓と比較して
明らかに白くなります。
<CT>
脂肪は低吸収なために肝臓は他の組織(CTでは特に脾臓と比較)よりも黒っぽく見えます。
<治療>
脂肪肝の原因に対しての治療を行います。
原因として多いのは肥満ですが、肥満に対しては、食事療法と運動療法を行います。
アルコールが原因であれば、禁酒をします。
▼NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)
飲酒歴がない人で画像上、脂肪肝がある症例はNAFLD(non-alcoholic fatty liver disease)と
診断されます。
そしてNAFLDの内、肝硬変や肝癌に進展して行く予後不良の症例をNASHといいます。
進行性の病変かどうかは組織診断を必要とするため、本来はNASHの確定診断は
肝臓の組織診断(肝生検)でのみ可能です。
<検査>
脂肪肝と同様ですが、異常所見は高度になる傾向があります。
肝生検では、肝細胞の風船様腫大、炎症性細胞浸潤、肝細胞周囲線維化、ときにマロリー体が見られます。
<治療>
肥満や糖尿病を合併することが多く、それらの治療が中心となります。
食事療法、可能であれば運動療法を行います。そして、高脂血症に対してフィブラート、
糖尿病であれば血糖降下薬などが使われます。