SMA(上腸間膜動脈)症候群
TOP>消化器>SMA(上腸間膜動脈)症候群

SMA(上腸間膜動脈)症候群

▼SMA症候群の概念

SMA(上腸間膜動脈)症候群は、 十二指腸水平脚がSMA(上腸間膜動脈)によって圧迫されることにより閉塞し(イレウス)、 嘔吐や腹部膨満などの腸閉塞症状を引き起こす疾患です。

SMA症候群をきたす要因として、急激な体重減少がある場合があり、 神経性食思不振症など摂食障害の患者に見られたりします。

十二指腸水平脚とSMA(上腸間膜動脈)との間には脂肪組織があり、それがクッションの役割を 果たしています。
そのため通常は閉塞まで至ることはないですが、体重減少により脂肪が減少すると、 そのクッションが取り除かれることとなり、十二指腸閉塞を来たします。

▼SMA症候群の症状

十二指腸閉塞なので、嘔気・嘔吐、胃部の膨満感、腹痛などを来たします。

▼SMA症候群の診断

<造影X線写真>
十二指腸水平脚での閉塞による胃の拡大、十二指腸以降への造影剤の流れが見られないことが確認できます。

<造影CT>
SMAと大動脈との解剖学的な位置関係が確認でき、また、十二指腸水平脚での閉塞が明らかなこともあります。

▼SMA症候群の治療

十二指腸閉塞なので、基本的にはイレウスと同様で、胃内容物を取り除くためにチューブを入れ、絶食とします。

栄養は、中心静脈栄養とすることが多いです。
また、仰臥位はSMAによる十二指腸の締め付けを強くすると考えられるので、 出来るだけ座位などを取るようにします。

急激な体重減少を契機に発症した場合には、体重の増加に伴い閉塞は解除されます。