糖尿病の3大合併症は、網膜症、腎症、末梢神経障害ですが、腎症は致死的な疾患であり重要です。
病理学的には、糖尿病性腎症は特徴的な、びまん性病変、結節性病変、滲出性病変を呈します。
糖尿病性腎症では、厚生労働省の病期分類が広く用いられています。
病期 | 尿蛋白 | GFR | 主な治療法 |
第1期(腎症前期) | − | 正常〜高値 | 血糖コントロール |
第2期(早期腎症) | 微量アルブミン尿 | 正常〜高値 | 厳格な血糖コントロール、降圧治療 |
第3期A(顕性腎症前期) | 持続性蛋白尿 | ほぼ正常 | 厳格な血糖コントロール、降圧治療、 蛋白制限食 |
第3期B(顕性腎症後期) | 持続性蛋白尿 | 低下 | 厳格な降圧治療、蛋白制限食 |
第4期(腎不全期) | 持続性蛋白尿 | 著明低下 | 厳格な降圧治療、低蛋白食 透析療法導入 |
第5期(透析療法) | 透析療法中、移植 |
糖尿病性腎症では、初期では症状はなく、GFRはむしろ増加しています。
そして第2期になると微量アルブミン尿となり、腎症の発見が可能となります。
この段階で十分な血糖コントロールが出来れば、改善も期待できます。
第3期はAとBとで分かれますが、この段階になると不可逆的な病変となり、血糖のコントロールを
行っても腎機能は元には戻らなくなるといわれています。
治療としては、血圧のコントロールが重要になります。
血圧を十分にコントロールできると、病気の進行を
遅らせることが出来ます。