広義には、肺に好酸球の浸潤を認める疾患群の総称です。
好酸球が増加する原因としては、寄生虫、真菌、薬剤などがありますが、不明なものも
多いです。
分類としては、Citroの分類、Fraserの分類が使われるようです。
Citroの分類 | 症状 | 原因 | 治療 |
単純性肺好酸球増加症 | 軽度 | 不明 | 対症療法 |
遷延性肺好酸球増加症 | 軽〜中等度 | 不明 | ステロイド |
喘息性肺好酸球増加症 | 軽〜中等度 | アスペルギルスなど | ステロイド |
熱帯性肺好酸球増加症 | 中等度〜重症 | ミクロフィラリア | ジエチルカルバマジン |
アレルギー性血管炎 (結節性動脈炎,Wegener肉芽腫) |
重症 | 不明 | ステロイド,免疫抑制剤 |
Fraserの分類 | 疾患名 |
原因不明の好酸球性肺疾患 | 単純性肺好酸球増加症 急性好酸球性肺炎(AEP) 慢性好酸球性肺炎(CEP) |
原因の明らかな好酸球性肺疾患 | 薬剤性好酸球性肺炎 アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)など |
血管炎、肉芽腫と関連した好酸球性肺疾患 | アレルギー性肉芽腫性血管炎 結節性動脈炎 Wegener肉芽腫 |
急性好酸球性肺炎(AEP)は、若い人(特に女性)に急激に呼吸困難が現れる疾患です。
原因不明と分類されていますが、日本人では、喫煙が原因であることが多く、
喫煙を開始(再開)した数日から数週間で発症します。
BALFでは、好酸球が増加しますが、血液検査上では好酸球の増加は見られません。
治療はステロイドの全身投与です。
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)は、
気管支喘息の症状に加えて(T型アレルギー)、アスペルギルスに対する
アレルギー反応(V型アレルギー)によって
起こる肺炎です。
アスペルギルスは、免疫不全患者などでは、肺アスペルギルス症という疾患も引き起こすので、
それとは区別して考える必要があります。
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症は、あくまでアレルギー性疾患です。
症状では、喘息の症状が先に起こり、その後、発熱、咳、呼吸困難などがみられます。
胸部X線写真で肺炎のような影がみられ、移動したり、反復したりします。
治療は、免疫反応を抑えるために、ステロイドの全身投与が行われます。また、補助薬として、
アスペルギルスに対する抗菌薬の投与(アムホテリシン)も行われることがあります。