血液凝固反応が活性化し、全身の細小血管内で血栓が多発して臓器不全を呈したり、
出血傾向となる予後不良の疾患です。
DICを引き起こす基礎疾患としては、癌、感染症、白血病(特に有名なのが急性前骨髄性白血病(M3))、外傷などがあります。
大量の組織トロンボプラスチン(第V凝固因子、Tf)が血管内に流入することがきっかけとなります
(癌や感染症では免疫系の活性化などの理由でTf産生が亢進、
急性前骨髄性白血病では白血病細胞中にTf様物質が蓄えられている、外傷では崩壊した組織からTfが血管内に
流入するなど)。
血中のTfは外因系の凝固を活性化し血栓が形成され、その血栓が血管を詰まらせ臓器不全に陥らせます。
また、血栓形成により血小板と凝固因子が消耗され、出血傾向となります。
血小板が減少するため出血時間が延長します。
また、凝固因子が消耗されるためにPT、APTTともに延長します。
そして、血栓を溶かすべく線溶系が亢進するために分解されたフィブリン(FDP)が上昇します。
場合によってはこれらの異常値すべてが揃わないこともありますが、DICは致死的なため、
症状や経過からDICを疑えば、治療に踏み切ることもあります。
基礎疾患の治療がまず優先されます。
そして、抗凝固療法を行います。ヘパリンやアンチトロンビン(AT)を投与しますが、出血傾向の強い場合など、
ヘパリンが使いにくい状況もあります。