悪性リンパ腫は、リンパ節やリンパ組織に発生するリンパ球由来の悪性腫瘍です。
リンパ系細胞が骨髄で増殖すればリンパ性白血病で、リンパ節やリンパ組織で増殖すれば悪性リンパ腫です。
しかし、近年は両者をまとめて扱う場合も多いです。
悪性リンパ腫は、組織学的には大きくHodgkin(ホジキン)リンパ腫と非Hodgkinリンパ腫に分かれます。
さらに非Hodgkinリンパ腫は新WHO分類では成熟B細胞腫瘍と成熟T/NK細胞腫瘍に分かれます。
リンパ組織にHodgkin細胞かReed-Sternberg(RS)細胞が見られた場合にHodgkin(ホジキン)リンパ腫とします。
RS細胞は複数の核を持った巨細胞で、核には核小体が見られます。Hodgkin細胞は単核ですが、実質的にはRS細胞と
同一と考えられています。
症状としては、Pel-Ebstein熱と呼ばれる不規則で間欠的に繰り返す発熱、
体重減少、盗汗(汗が盗まれるように出る)、リンパ節腫脹(特に頸部)、肝腫大、脾腫などです。
Hodgkinリンパ腫では病期分類(Ann Arbor分類)が重要です。
I期 | ひとつのリンパ節領域、リンパ組織にとどまっている場合. リンパ節以外の臓器の限局的な病変. |
U期 | 横隔膜を境界としてその上または下いずれか一方に限局した 二つ以上のリンパ節領域、リンパ組織の病変 |
V期 | 横隔膜の両側に及ぶリンパ節領域またはリンパ組織の病変 |
W期 | 広汎なリンパ節以外の臓器への浸潤. 骨髄、肝臓などの臓器に病変がある場合. |
新WHO分類では、非Hodgkinリンパ腫は、成熟B細胞腫瘍と成熟T/NK細胞腫瘍に分かれます。
新WHO分類は、リンパ性白血病とリンパ腫を区別しないので、成熟B細胞腫瘍の中にCLLが含まれ、
成熟T/NK細胞腫瘍にはATLが含まれています。
なお、非Hodgkinリンパ腫は、Hodgkinリンパ腫に比べて予後が悪いことが多いです。
B細胞リンパ腫の頻度は、70%程度です。
低悪性度リンパ腫として、比較的頻度の高いものに、形質細胞腫、MALTリンパ腫、濾胞性リンパ腫が
あります。
中悪性度リンパ腫としては、びまん性大細胞リンパ腫、マントル細胞型リンパ腫などがあります。
高悪性度リンパ腫としては、Burkittリンパ腫などがあります。
T/NKリンパ腫の頻度は、悪性リンパ腫の25%程度です。
低悪性度リンパ腫として、菌状息肉症、Sezary症候群などがあります。
中悪性度リンパ腫として、未分化型大細胞リンパ腫、末梢性Tリンパ腫などがあります。
高悪性度リンパ腫として、成人T細胞白血病/リンパ腫、前駆細胞型リンパ芽球性リンパ腫などがあります。