造血幹細胞の異常のため血球産生の障害が起こり、末梢血の血球が減少する疾患群です。
異形成という位なので、骨髄・末梢血の血球の形に異常が見られます。
高率に急性骨髄性白血病を発症することから、前白血病状態と理解されています。
FAB分類では、MDSの診断は、骨髄系細胞の異形成と無効造血を来たし、骨髄の芽球の比率は30%を超えないこと、
とあります。
そして、さらにRA、RARS、RAEB、RAEB-t、CMMLの5型に分類されています。
一見、覚えにくそうですが、CMML以外の4つの型はすべてRA(不応性貧血)という言葉が付きます。
不応性貧血は、鉄やビタミン、葉酸などを投与しても貧血が改善しない、という意味です。
病型 | 末梢血中 芽球 |
骨髄中 芽球 |
その他 |
不応性貧血(RA) | <1% | <5% | |
環状鉄芽球を伴うRA(RARS) | <1% | <5% | 環状鉄芽球>15% |
過剰な芽球を伴うRA(RAEB) | <5% | 5〜20% | |
急性転化を来たした過剰な芽球を伴う RA(RAEB-t) |
≧5% | 20〜30% | Auer小体陽性 |
慢性骨髄単球性白血病(CMML) | <5% | <20% | 末梢血単球>1000/μl |
新WHO分類では、骨髄の芽球の比率が20%を超えると急性白血病と分類されるので、FAB分類のRAEB-tは、
急性白血病に分類されます。
そして、新WHO分類では、RAは赤血球系にのみ限定されるものと定義し、2系統以上の異型性を伴う場合には
RC(不応性血球減少)というように定義しました。
詳細については省略しますが、以下の8型に分類しています。
・不応性貧血 (RA)
・鉄芽球を伴う不応性貧血 (RARS)
・多血球系異形成を伴う不応性血球減少症 (RCMD)
・鉄芽球と多血球系異形成を伴う不応性血球減少症 (RCMD-RS )
・芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB-1、RAEB-2):芽球10%未満が1、10%以上が2
・分類不能型(MDS-U)
・染色体異常del(5q)を伴うMDS(5q症候群)
RAやRARSなどの低リスク群では観察と輸血などの補助療法としています。
高リスク群では化学療法が中心となります。高齢の場合が多いので骨髄移植は難しい
場合がありますが、最近はミニ移植が試みられています。