子宮筋腫は良性の平滑筋腫瘍です。エストロゲン依存性に増殖するため、閉経後に多くは縮小します。
子宮筋腫は発育の方向によって、
・粘膜下筋腫
・筋層内筋腫
・漿膜下筋腫
の3つに分けられます。
<過多月経・不正性器出血>
特に粘膜下筋腫に見られますが、その機序としては、
・子宮内膜表面積の増大
・うっ血
・内膜の菲薄化
・子宮筋収縮の阻害
などがいわれています。
<疼痛>
子宮腺筋症を合併することが多く、月経痛を訴えることもあります。
また、粘膜下筋腫では筋腫を排除しようと子宮筋が過剰収縮することがあり、疝痛を
来たすことがあります。
巨大な筋腫でも腰仙骨神経叢や腹膜を圧迫し疼痛を生じます。
<膀胱・直腸の圧迫>
漿膜下筋腫では膀胱を圧迫し頻尿を来たしたり尿閉を来たすことがあります。
また、直腸を圧迫することもあり便秘となります。
<不妊・流早産>
粘膜下筋腫は着床障害を起こすと考えられます。
また、筋腫合併妊娠では早産や胎盤剥離、骨盤位が多くなるという報告がありますが、
明らかな結論は出ていないようです。
・超音波
子宮筋腫が壊死したりガラス変性すると様々な所見を呈します。
粘膜下筋腫では特に子宮腔内に水を入れてエコーをするソノヒステログラフィーが有用です。
・MRI
MRIはコントラストに優れ半球状の腫瘤陰影として描出され、
典型的にはT1でやや低信号、T2で明らかな低信号を示します。
<薬物療法>
エストロゲン依存性に増殖するので、子宮内膜症と同様に偽閉経療法(GnRHアナログ)が
行われます。
<手術療法>
手術適応としては、悪性の可能性がある場合と症状が薬物療法で改善しない場合が考えられます。
・子宮筋腫核出術か子宮全摘出か?
摘出範囲ですが、妊孕性を望む場合には筋腫核出術になります。
注意点としては、筋腫が多発している場合などは術中の出血が増大することがあり、
また、子宮が残存しているために再発することも考えられます。
妊孕性を望まない場合は根治的な子宮全摘出を行います。
・腹式か膣式か?
子宮への到達する方法は腹からと膣からが考えられます。
近年は経膣分娩の経験がある場合には、膣から子宮へ到達できるので膣式で行うことが多いようです。
ただし、腹部手術の既往があると子宮が癒着していることが考えられるために、腹腔鏡(ラパロ)の併用あるいは
開腹手術とする場合もあります。
<その他>
子宮動脈塞栓(UAE)や集束超音波(FUS)といった非観血的治療がありますが、
2008年現在保険適応ではないようです。