更年期障害

病気の疑問と考え方捉え方

様々な疾患の病態の考え方、診断や治療の治療の説明など


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更年期障害

▼更年期障害の概念

エストロゲンの低下により血管運動症状(のぼせ、発汗、肩こりなど)、精神神経症状 (抑うつ、不眠など)を呈します。
晩期には、脂質異常症(高コレステロール血症)、骨粗鬆症が好発します。

▼更年期障害の鑑別診断

鑑別診断としては、甲状腺機能障害、うつ病による不定愁訴などがあがります。
治療法が全く異なるので、鑑別は重要です。
また、閉経前後の年齢は悪性腫瘍等も考えられるので、治療に反応しないときには特に考える必要があります。

▼更年期障害の治療

原因がエストロゲンの低下にあるためエストロゲンとプロゲステロンを投与するホルモン補充療法(HRT)が 行われています。
エストロゲンのみの投与では子宮体癌のリスクが増加するためにプロゲステロンの併用が行われます。しかし、 併用しても乳癌のリスクは増加します。
HRTは血栓症や心筋梗塞などのリスクを高めるため、これらの既往がある患者には使えません。

その他の薬剤としては、ラロキシフェンなどの選択的エストロゲン受容体調整薬(SERM)があります。
選択的に骨芽細胞や破骨細胞に作用するため 骨粗鬆症に効果的である一方で、子宮体癌や乳癌リスクは増加させません。
しかし、血栓症や心筋梗塞の発症率は減少せず、また、更年期障害への効果が乏しいという弱点もあります。

▼第98回医師国家試験F49、50
53歳の女性。
発汗、不眠および動悸を主訴に来院。

現病歴:1年前から時々顔面のほてりを覚え、 運動もしていないのに突然汗が出るようになった。
6か月前から、夜なかなか寝つけなくなり、動悸もするようになった。

既往歴:特記すべきことはない。閉経52歳。

現症:意識は清明。身長157cm、体重62kg。体温36.4℃。脈拍76/分、整。血圧132/78mmHg。
身体所見に異常なし。
尿所見、血液所見、血清生化学所見はほぼ正常値。

F49.最も考えられる病態はどれか。

a 自律神経の障害
b 脳の虚血
c 肝機能の異常
d 腎機能の低下
e 耐糖能の低下

F50.この患者に合併しやすいのはどれか。

a 気管支喘息
b 十二指腸潰瘍
c 尿路結石
d 脂質異常症
e 甲状腺機能低下症

正解はF49がa、F50がdです。



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