大腸ポリープでは、腺腫性ポリープ、過誤腫性ポリープ、炎症性ポリープでほとんどが占められ、
腺腫性ポリープが最も多いです。
腺腫性ポリープで癌化の可能性があり内視鏡検査で見つけた場合は、
基本的には切除します(ポリペクトミー)。
大腸ポリープの多くは腺腫性ポリープなので、
大腸ポリープは癌化リスクが高いといえます。
過誤腫性ポリープ、炎症性ポリープは癌化リスクは低いと考えられています。
ポリポーシスは、ポリープが多発(100個以上)する疾患です。
有名なのが、
家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)、Gardner症候群、Turcot症候群、Peutz-Jeghers症候群です。
家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)は癌抑制遺伝子であるAPCに異常があるとされ、
FAPのポリープは腺種で将来的には100%の確率で癌化します。
したがって、家族歴から本症が疑われる場合などは定期検査が必要で、本症と診断された場合は大腸全摘術が
行われます。
Gardner症候群は大腸のポリポーシスに骨腫瘍と軟部腫瘍(脂肪腫など)を合併する常染色体優性の疾患です。
FAPの亜型です。
Turcot症候群は大腸のポリポーシスに神経腫瘍(神経膠腫、髄芽細胞腫など)を合併しますが、
非常に稀です。
Peutz-Jeghers症候群のポリポーシスは小腸によくみられます。過誤腫なので癌化のリスクは低いです。
しかし、大きなポリープが見られ腸重積を引き起こすこともあります。
手掌などに斑状のメラニン色素沈着が見られます。
また、大腸癌の遺伝に関連して、ポリポーシスを呈さない遺伝性非ポリポーシス大腸癌
(HNPCC:Hereditary non-polyposis colorectal cancer)があります。この疾患では大腸癌の他に
胃癌、子宮体癌や、腎盂、尿管癌、小腸癌の合併も多いとされます。
<注腸造影>
<内視鏡>
(96回医師国家試験A26)
家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)、Gardner症候群、Turcot症候群では将来的に癌化するので
大腸全摘出を行います。
Peutz-Jeghers症候群のポリポーシスは数が少ないので内視鏡的治療が可能です。消化器症状を伴うこと、
大きなポリープは癌化が無視できないことから治療を行います。