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心房中隔欠損症(ASD)は、左右の心房の間の心房中隔に穴があいている病気です。
全先天性心疾患の約1割を占めるといわれています。
全年齢では心室中隔欠損症(VSD)が最多ですが、心室中隔欠損症(VSD)は自然閉鎖するので40歳以降の先天性心疾患では最も多くなります。
左右の心房の間に穴があると、右心系よりも左心系の圧が高いため、
血液は左心房から右心房へと流れます(左→右短絡)。
そのため、右心系(右房と右室)と肺は容量負荷(静脈の血液+左心房からの血液)により拡大します。
また、肺血流量が多い状態が続くと肺血管壁の障害と肺血管抵抗の増大を引き起こすようで、結果的に
肺高血圧となります。
肺高血圧になると右室圧も上昇し、さらに右房圧も上昇します。
右房圧が左房圧よりも高くなると血流は右心房→左心房(右→左短絡)となります。
右心房に帰ってきた静脈血がそのまま全身に送り出されるため、
チアノ-ゼを来します(Eisenmenger(アイゼンメンジャー)症候群)。
小児期は無症状ですが、健診での心雑音を指摘されて診断に至るケースが多いです。
その後、放置すると心房中隔欠損症(ASD)は自然治癒しないため、30~40代で労作時呼吸困難等を生じます。
また右心房は拡大するために心房細動を起こすことがあります。
なお、心室中隔欠損症(VSD)などの他の先天性心疾患では感染性心内膜炎を起こしやすくなりますが本症では
まれです。
心房の圧は低く欠損孔も大きいために短絡血流はジェットとならないので
内膜を損傷することが少ないためと考えられます。
心房の圧は低く欠損孔も大きいために短絡血流の聴取はできません。
肺血流量が多いために収縮期に肺動脈弁領域で収縮期駆出性雑音が聴こえます。
また、右房から右室への血液量も多く相対的な三尖弁狭窄(TS)となるので拡張期にも
雑音が聴こえます。
本症に特徴的なのがⅡ音の固定性分裂です。本症では右心系に容量負荷がかかっているために呼気時でもⅡ音の
肺動脈弁成分が遅れⅡ音が分裂します。
吸気時では静脈還流量が多くなるためにさらにⅡ音の肺動脈弁成分は遅れそうですが、実際は
変わらず分裂は大きくなりません。吸気時には心房中隔欠損からの短絡量が減ることでトータルの右心系の容量は
変わらないためと考えられています。
肺高血圧が進展するとⅡ音は亢進します。
また、左房→右房への短絡量は減少するので肺動脈弁領域で収縮期駆出性雑音や
三尖弁狭窄(TS)による拡張期雑音も聴こえなくなります。
変わりに肺高血圧により肺動脈弁輪が傷害されて拡大するために肺動脈弁閉鎖不全症となり
拡張期逆流性雑音が聴こえます(Graham Steell雑音)。
<胸部X線写真>
左-右シャント系疾患に共通しますが、肺血流量が増加するので左第2弓が突出します。
また、右心系が拡大するので右第2弓(右心房)、左4弓(右心室)の突出が見られます。
<心電図(ECG)>
不完全右脚ブロックと右軸偏位が見られます。
臨床上、重要な所見なようです。
<心エコー>
カラードプラで左房→右房へシャントする血流が見られます。
また、心室中隔の奇異性運動が確認できます。右室の血液量が
左室よりも多いために収縮期に中隔が左室後壁から遠ざかります(通常は近づく)。
<心カテーテル検査>
欠損孔よりカテーテルが短絡します。また、血液ガス分析で右房で酸素濃度のstep upが見られます。
また、Qp/Qsを測定することができます。エコーでもできますがこちらが正確です。
Qp/Qsは肺体血流量比でQpが肺血流量でQsが全身への血流量です。通常はQp/Qsは1ですが、
心房中隔欠損があると肺動脈に余計に血液が流れるために1以上になります。
手術適応に有用です。
小児期以後は自然閉鎖せず30代以降には心不全徴候、不整脈が生じるので
短絡量が多い場合には手術(心房中隔欠損閉鎖術)を考慮します。
手術適応は、Qp/Qs>1.5~2.0とされます。
最近ではカテーテルによる閉鎖栓留置も行われます(カテーテル治療)。
Eisenmenger(アイゼンメンジャー)症候群となった場合には手術は禁忌です。