心房細動,心房粗動

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心房細動・粗動

▼心房細動

心房細動は、心房壁がふるえ(毎分300〜600の興奮)、その結果、血液を効率よく心室へ送り出せなくなっている状態です。

心房中隔欠損症や僧帽弁狭窄症などで、心房に負荷がかかって心房が拡張したような場合に、 生じることがあります。また心筋症でも生じることがあります。
また、高齢者では、甲状腺機能亢進症で心房細動が生じることがあり、心房細動を見たら甲状腺機能を 調べる必要があります。

心房細動の心電図は、絶対不整脈と呼ばれます。
心房は毎分300〜600程度の震えを生じていますが、心筋には不応期があるので、 心房→心室への興奮の伝導が常に起こるわけではなく、 あるとき、たまたま心室へ興奮が伝わるため一定の間隔とはならずRR間隔はばらばらになります。

▼心房細動の症状

症状としては動悸を訴えることがあります。
それほど脈拍数は増加していないのに動悸を訴える場合、Afを考える必要があると思います。
また、重要なのが、心房細動では、血栓が形成されることです。
この血栓が脳に飛べば、脳梗塞を引き起こします。したがって、予防のために抗凝固療法が必要です。

▼心房細動の治療

<心拍数のコントロール(レートコントロール)>
動悸といった症状をとるためにも有効ですが、レートコントロールにより洞調律に 戻ることもあるようです。
AHA(American Heart Association)のガイドラインでは、 第1選択はCa拮抗薬(ベラパミル、ジルチアゼム)、第2選択としてβブロッカーとなっています。 基礎心疾患がなければCa拮抗薬を、それでコントロールができなければβブロッカーを併用することが 多いようです。心不全患者でいずれも使えいにくい場合にはジギタリスを用いるようです。
なお、WPW症候群であれば、ベラパミル、ジゴキシンは禁忌です。

<除細動>
レートコントロールを行った後、発症後2日以内であれば血栓形成の心配が少ないので(エコー等で確認も 行うが確実ではない)除細動による洞調律化が行われるようです(血栓があると除細動時にとんでしまう)。

慢性心房細動では除細動で洞調律に戻してもすぐに再発してしまうため行いません。したがって、 自覚症状を伴わない心房細動の場合、その発症がいつか不明であり慢性であることが考えられるので 除細動は行わないことが多いようです。

<抗凝固療法>
ワーファリンが使われます。過剰投与で脳出血のリスクがありますが、脳梗塞予防のベネフィットの が大きかったという大規模臨床研究もあり推奨されています。
PT-INRを指標として薬剤量を調節します。

▼心房粗動

心房粗動は、心房が毎分250〜300回という高頻度で規則的に収縮する状態です。
心電図はのこぎりの歯状(F波)をしています。
僧帽弁疾患で生じることが多いです。

基礎疾患としては僧帽弁疾患が多く見られます。

心房粗動はF波の極性により、通常型(common type)と非通常型(uncommon type)に 分かれます。通常型はU・V・aVf誘導で陰性の鋸歯状波で、非通常型はU・V・aVf誘導で陽性の鋸歯状波です。 common typeはカテーテルアブレーションの有効率が高いです。

治療としては、全身状態が悪く早急な洞調律化が必要な場合には、直流除細動、ジギタリス、ジソピラミド等が 使われます。

心房粗動は基礎疾患を有することが多く再発が多いため、予防が必要です。
最近ではカテーテルアブレーシヨン(旋回路を高周波電流で焼灼)が行われます。
心房粗動は、三尖弁輪を反時計方向(common type)あるいは時計方向(uncommon type)に旋回し、 この興奮の旋回から伝播して来る電気的興奮によると考えられるので、この伝導路を焼却します。



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