たこつぼ心筋症は、心臓が収縮して全身に血液を送り出す際、左心室の下部が収縮せず、
上部だけが過剰に収縮する疾患です。造影検査でたこつぼに似ていることから、この名前がついています。
発症の仕組みはよく分かっていないようですが、ストレスの関与が強く疑われています。
肉親の死などの精神的ストレス、
手術や交通事故の外傷などの肉体的ストレスといった、大きなストレスを受けた後に発症していることが
多いです。最近では、新潟大震災のときにこの疾患の患者が多く出たようです。
たこつぼ心筋症は女性に多いですが、エストロゲン濃度の低下が原因の一つである可能性が報告されています。
胸の痛みや圧迫感、息苦しさを伴うほか、全身倦怠感が生じます。
心電図検査で心筋梗塞とは異なる異常波形を確認した上で、
心臓カテーテル検査でたこつぼ状の収縮異常が見つかれば診断が確定すると思います。
治療は、入院して安静を保つことが重要で、心不全や不整脈などの症状があれば、
利尿剤や抗不整脈剤などの薬物療法を行います。
1か月程度で心臓の収縮異常が改善し、退院できることが多いようです。
アルコールにより様々な疾患が生じますが、心臓にも障害が生じます。
アルコール性心筋症は、長期間の大量飲酒後に発生する拡張性心筋症類似の疾患です。
その発生メカニズムは完全には明らかにされていないようです。
臨床的には、特異的な所見に乏しく除外診断になるようです。
早期に発見し、断酒すれば元に戻ることもありますが、末期になると断酒しても心臓の機能は元に戻らなくなります。