心筋梗塞

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心筋梗塞

▼心筋梗塞の概念

心筋梗塞は、冠状動脈が完全につまってしまい、心筋に酸素と栄養がいかなくなった結果、心筋が壊死してしまった 状態です。その部分の壁の動きが悪くなり、ポンプとしての力が落ちて心不全となります。

(心臓の内側にはたくさんの血液があるのに、心筋が虚血するなんて、皮肉な気がします。)
(ある種の生物は、心臓内から直接心筋へと血液を供給するとか…)

なお、心筋が壊死するには、虚血が長時間持続する必要があります。したがって、冠状動脈が 完全に詰まった後でも、冠動脈の閉塞を回復させる治療が行われます(再灌流)。
冠動脈閉塞後に再灌流に成功した場合、速やかに元に戻る心筋を冬眠心筋(Hibernating Myocardium)、 数時間から数週間で改善するものを気絶心筋(Stunned Myocardium)といいます。

▼心筋梗塞の症状

心筋梗塞の症状としては、激しい胸の痛み、冷汗、呼吸困難、嘔気・嘔吐などがあります。
胸痛は通常は30分以上続き、安静によっても軽快しません。
しかし、高齢者や糖尿病患者では、無痛性のことがあり、注意が必要です。

▼心筋梗塞の検査

心筋梗塞を疑ったら、まず心電図をとります。 貫壁性心筋梗塞(Q梗塞)の心電図の時間的変化は、以下のようになります。

T波増高→ST上昇→異常Q波→冠性(coronary)T波

心電図で冠動脈のどこが閉塞したかがある程度わかります。
右冠動脈が閉塞した場合(下壁梗塞)ではU、V誘導とaVf、
前下行枝(前壁梗塞)ではV1〜V4、
回旋枝(側壁梗塞)ではT誘導とV5、6で変化が見られます。

また、心エコーでは壁運動の低下などが見られます。

その後、全身状態がある程度落ち着いている場合には、速やかに 冠動脈造影検査を行いますが、検査というよりは主に治療目的で行います。

血液生化学検査としては、CK、AST、LDHなどの逸脱酵素や心筋トロポニンの上昇が見られます。 上昇の程度から壊死範囲をある程度推測することが可能です。

▼心筋梗塞の合併症

心筋梗塞後は、様々な合併症が生じるため、 冠状動脈疾患管理室(Coronary Care Unit,CCU)で、 厳重な監視モニター下で持続的に管理する必要があります。

合併症には、不整脈、心破裂、乳頭筋断裂、心膜炎、心室壁の膨隆(心室瘤)などがあります。
起こりうる合併症と閉塞部位には関連があり、右冠動脈は房室結節を灌流しているため 右冠動脈閉塞では房室ブロックなど不整脈が生じます。
前下行枝は前壁など広範囲を灌流しているためにVfなどの不整脈や心室中隔を灌流しているために心室中隔穿孔が 生じやすいです。

また、心筋梗塞後に生じる心外膜炎はDressler症候群と呼ばれます。



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